ESA(欧州宇宙機関)が主導する大型木星氷衛星探査計画であり、欧州各国をはじめ、日本や米国、イスラエルが参加する史上最大級の国際太陽系探査計画です。2023年に打ち上げ、2031年に木星系に到着、2034年に衛星ガニメデの周回軌道への投入が予定されています。探査機の開発から15年以上、打ち上げから10年以上におよぶ、まさに現代宇宙探査の「グレートジャーニー」です。
太陽系の起源の謎を解明
我々の太陽系がどうやってできたのか?地球に水や大気がどうやってもたらされたのか?その謎に迫るヒントが、じつは木星にあります。
木星は地球の300倍の質量を持つ、太陽系最大の巨大ガス惑星です。木星はその巨大な重力によって、太陽系の姿を”デザイン”した最重要惑星であることがわかってきています。木星が誕生したことによって、地球も誕生し、海や大気の成分も地球にもたらされたのです。では、その肝心の木星はいつどうやってできたのでしょうか?その謎に迫るのが JUICE 探査です。
木星は外から見ると巨大なガスのかたまりです。原始の木星を作った材料物質はぶ厚いガスの下にあり、直接これを調べることは困難です。一方、木星の衛星には、木星形成当時の材料物質が”化石”のように残っていることが期待されます。JUICE探査機は、木星の衛星たちを調べることで太陽系と地球の成り立ちに迫ります。
生命存在可能性の探求
木星の衛星は一見氷のかたまりのように見えますが、その内部は木星の重力による変形や、岩石に含まれる放射性元素によって加熱されています。加熱が十分であれば、氷が溶けて内部に液体の海が存在することも可能です。衛星エウロパやガニメデには、そのような内部海があるのでしょうか?また、内部海の環境は、地球の海と似ているのでしょうか?
これらの問いへ答えることは、地球外生命の存在可能性の探求に直結する課題であり、JUICE探査が目指す目標の一つです。
太陽系最強の加速器
木星は驚くほどダイナミックな惑星です。目に見える大気だけでなく、目に見えない強力な磁場も高速で回転しており、刻一刻、形を変えて変動しています。木星は太陽系で最も強力な磁場を持ち、木星周辺のプラズマを猛烈に加速しています。そして、地球数個分以上の大きさのとてつもないオーロラが発生しています。
このような現象はどうやって起きているのでしょうか?地球で起きる現象をはるかに凌駕するスケールでダイナミックに変動する木星。その全貌解明もJUICE探査機が行うことです。