JUICEのサイエンス

生命存在可能性の探求

木星の衛星たちは氷と岩石でできています。その内部では氷が溶けて、広大な液体の海が広がっています。そこには、なんと地球外生命が存在する可能性もあるのです。
木星には、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストという4つの大きな衛星があります。そして、そのうちのイオ以外の3つには、内部に地下の海が広がっていると考えられています。さらにエウロパからは、地下の海水が宇宙空間に噴き出しています。
地下の海の環境はどのようなものなのでしょうか?地球の海と似ているのでしょうか?生命が存在できる条件は整っているのでしょうか?

生命とはなにか?

生命とは何でしょうか?
我々は、地球上でおきる物理学や化学が、宇宙においても同様に成り立つことを知っています。
しかし、生命については、地球上の生物学がどれだけ宇宙でも成り立つかを知りません。
宇宙において生命を探すことは、生命とは何か、我々とは何者かという問いに、科学から迫ることに他なりません。

生命の定義

外界外界と隔離(細胞膜) 自己増殖(DNA、たんぱく質) 自己の維持(代謝、ATP)

生命の定義は難しい問題で、まだ確たる答えはありません。
しかし、一般的には1)自己と外界との隔離、2)自己の複製、3)自己の活動の維持を満たすものが生命といわれています。

生命の存在条件とは?(habitable zone)

地球生命にとって必要な要素は何でしょうか。 液体の水、有機物、そしてエネルギーが、生命の誕生や存在にとって必須要素であると考えられています。したがって、地球に存在するような生命を探すのであれば、これら3要素が満たされている天体を探すことになります。
これら3要素が満たされる”ハビタブル”な天体には、大きくいうと2種類あります。1つは、地球のように、天体の表面に液体の水が存在する天体です。その場合、そこには太陽光エネルギーが降り注ぎます。 もう1つは、天体の地下に海が存在する天体です。木星の衛星エウロパには、木星との潮汐加熱によって内部に液体の水が存在し、地下の岩石に熱エネルギーが与えられます。これら天体に有機物があれば、生命にとっての必須要素を満たすことになります。前者の、惑星表面に液体の水が存在しうる恒星からのほどよい距離を「恒星周りのハビタブルゾーン」、後者の、ガス惑星の潮汐力によって水が存在できる領域を「巨大ガス惑星周りのハビタブルゾーン」と呼びます。
JUICE探査は、地球が現在の位置に形成し、水や大気が供給される上で重要な木星の起源に迫ります。 また、木星の衛星であるエウロパやガニメデに存在する地下の海を探査します。これによって、太陽系に存在する2種類のハビタブルゾーンの起源と現在の姿に迫る探査だといえます。

生命体はいるのか!?

木星の周囲には4つの巨大衛星があります。それらはガリレオ衛星と呼ばれ、そのいくつかには生命が存在する可能性もあるといわれています。

NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS

credit:NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS

木星系の衛星:エウロパ

ガリレオ衛星の中で2番目に木星から遠いエウロパは主に岩石でできており、表面付近は水の氷に覆われて青白く輝いています。反面、内部では木星との潮汐力を受け加熱され、地下に液体の海が存在していると考えられています。また、地下海の一部が宇宙空間に噴出するプルームも発見されています。
内部の海は地下のどの深さまで広がっているのでしょうか。また、その環境は地球の海とどれだけ似ているのでしょうか。はたして生命にとって好適な環境なのでしょうか。
木星系の衛星:エウロパ

credit:NASA/JPL

木星系の衛星:ガニメデ

木星の衛星ガニメデの地下にも海が存在するとされていますが、その海水量や地下海の環境などはほとんどわかっていません。また、ガニメデには、地球と同じような磁場が存在しており、その中心に溶けた鉄のコアがあるのではないかといわれています。
ガニメデには本当に地下海が存在するのか。その大きさや成分はどれくらいか。なぜガニメデには磁場が存在しているのか。これらは未だ解明されていない大きな謎です。
木星系の衛星:ガニメデ

credit:NASA/JPL-Caltech

太陽系の起源の謎を解明

我々の太陽系がどうやってできたのか?
地球に水や大気がどうやってもたらされたのか?その謎に迫るヒントが、じつは木星にあります。木星は地球の300倍の質量を持つ、太陽系最大の巨大ガス惑星です。木星はその巨大な重力によって、太陽系の姿を”デザイン”した最重要惑星であることがわかってきています。木星が誕生したことによって、地球も誕生し、海や大気の成分も地球にもたらされたのです。
では、その肝心の木星はいつどうやってできたのでしょうか?木星は外から見ると巨大なガスのかたまりです。原始の木星を作った材料物質はぶ厚いガスの下にあり、直接これを調べることは困難です。一方、木星の衛星には、木星形成当時の材料物質が”化石”のように残っていることが期待されます。
太陽系の起源の謎を解明 参考写真

credit:NASA, ESA, and J. Nichols (University of Leicester)

太陽系最強の加速器

木星は驚くほどダイナミックな惑星です。目に見える大気だけでなく、目に見えない強力な磁場も高速で回転しており、刻一刻、形を変えて変動しています。木星は太陽系で最も強力な磁場を持ち、木星周辺のプラズマを猛烈に加速しています。そして、地球数個分以上の大きさのとてつもないオーロラが発生しています。
このような現象はどうやって起きているのでしょうか?地球で起きる現象をはるかに凌駕するスケールでダイナミックに変動するのが木星です。
太陽系最強の加速器 参考写真

credit:NASA/ESA